電力コスト 2012 7 7
高い電力コストを放置すれば、日本国内から雇用が失われていく。
2012年7月7日の日本経済新聞Web刊には、このような記事があります。
JXホールディングス系の東邦チタニウムは、
2016年にもマレーシアで500億円を投じ、チタン製錬所を建設する。
低燃費タイヤの合成ゴムで最大手のJSRはタイで工場を建設、
海外生産比率を7割にする。
電力コストなどの高い日本より海外に投資し、
世界での優位性を守る動きが高機能素材に広がってきた。
(東邦チタニウムは)これまでは日本だけで生産し、
日欧の航空機部品メーカーへ販売していた。
マレーシアで生産するのは円高対策に加え、
電力コストを大幅に抑えられるため。
大量の電力を消費するチタンは、価格の約3割が電力コストとされるが、
マレーシアの同コストは日本の半分から10分の1程度という。
(以上、引用)
私は、2011年7月2日に、電力と産業を考える上で、
日本のアルミニウム業界がたどった道のりは、大いに参考になりますと書きました。
アルミニウムは、「電気の塊」と言われることがあります。
つまり、アルミニウムを作るには、大量の電力が必要となるのです。
日本は、外国に比べ電力料金が高く、
国内でアルミニウム精錬は、経営的に困難で、
次々と生産拠点が海外に移ったのです。
こうした動きが、ついに高機能素材にまで広がってきたのです。
高い電力コストは、日本国内、特に地方において工場閉鎖を招き、
次々と、働く場所がなくなっていくでしょう。
そのことを政治家は、わかっているのか。
今の政治家は、人気取りに夢中となっていますが、
それで票は集まるが、日本国内から雇用が失われていくでしょう。
これは、「衆愚政治だ」と言わざるを得ないのです。
電力と産業 2011 7 2
また、昔話をしましょう。
私の記憶が正しければ、今から数十年前の話です。
「今から数十年前」というと、日本企業の黄金時代だったと思います。
外国からは、「日本企業は、世界最強である。
日本式の経営はすばらしい」と、
次々に、称賛されていた時代だったのです。
ところが、その黄金時代でも、
日本企業の一部には、衰退している分野があったのです。
それは、アルミニウム業界です。
アルミニウムは、「電気の塊」と言われることがあります。
つまり、アルミニウムを作るには、大量の電力が必要です。
日本は、外国に比べ電力料金が高く、
国内でアルミニウム精錬は経営的に困難で、
次々と生産拠点が海外に移ったのです。
(オイルショック後の電力料金の高騰が原因と言われます)
もちろん、日本において、アルミニウム業界が「絶滅」したわけではありません。
唯一、一社だけ残っています。
日本国内において、原石(ボーキサイト)から製品まで一貫生産を行っているのは、
日本軽金属のみとなりました。
日本軽金属の場合は、自前の「水力発電所」を保有し、
「自家発電」をしているので、何とか国内生産を維持しています。